2017年10月

 「ナナの家」成人式

 


  会報7月号の挨拶文「気になった一言」で触れたように、来年の2月3日までは私を人生最大の災難が襲ってくる。まだまだやってきそうだ。それでも思春期が終わるように、その先には誇らしい成人式が待っている。新しい職員も増えたため、ナナの家10周年記念誌の挨拶文から、NPO法人福祉ネット「ナナの家」のゆくべき道をみんなで再確認したいと思う。四年後に、「ナナの家」は成人式を迎える。

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「ナナの家」は小学四年生!

  福祉ネット「ナナの家」は法人設立10周年を迎えます。人間でいうと、まだ小学4年生の幼い会ですが、この10年の間支援して下さった皆さまに、心からお礼申し上げます。 
  「ナナの家」を立ち上げたきっかけは、私の息子が重度障害を負って生まれたからです。当時息子は高校生でしたが、親としてやり残したことが多くあったため、発達支援を行いたいのが初めの動機でした。息子のために考えつく活動は、他の人にも喜ばれました。そのため、重度の息子が暮らしやすい社会は、多くの人にも暮らしやすいのだと気づきました。 
  しかし私はただの母親。組織を動かすことも、経営のことも全くの素人でした。あるのはただ、熱い思いだけ。そのため、何度も関係者にSOSを出し、資金援助していただきながらの運営でした。顧問、理事、スタッフなどの関係者が、他人事と思わずに支え続けて下さったことが、「ナナの家」継続の大きな力となりました。 
  「ナナの家」の目的は、“障害者が地域で幸せに暮らしていく社会”の実現です。福祉の活動は、つきつめれば“幸福の追求”なのだと思います。障害者が地域で幸せに暮らしていくために、発達支援と交流活動を二本の柱に据えました。そしてスタッフの研修にも力を入れてきました。 
  まだ障害者への差別感のある時代でしたから、キャッチフレーズには、“違いを認め合う社会を求めて”を掲げました。これは重度障害者の就労を考える国際シンポジウムで聞いた、デンマークのシンポジストの話がきっかけでした。「デンマークでは、計算の速い人と遅い人がいたとしたら、それは“違い”と受け止め、“差”とは受け止めない教育を行っています。だからデンマークは福祉大国になったのです。」という内容でした。“差”に注目し競争社会を作る経済大国とは、教育という根っこから違います。この話を聞いた時、「ナナの家」の子どもたちの“障害”も、“違い”と受け止められる社会を築いていきたいと心から願いました。 
  「ナナの家」ではそんな思いを掲げ、みんなで柔軟に、受動的ではなく能動的に、福祉の活動を創る姿勢を大切にしていきたいと思いました。個々の会員の“やりたいこと支援”を行い、そこに無いなら創っていこう。それは素人が創った陶器のようにかなりいびつな形ではありましたが、その思いに共鳴する利用者やスタッフが集まり、一つ一つ必然的に活動が広がってきました。 
  設立の時とは時代が変わり、日本が批准に向かう「障害者権利条約」では、障害者が健常者と同等でないのは“差別”と捉えられています。長い間障害者は社会の迷惑と捉えられてきた時代とは変わります。自立支援法、障害者基本法、(注)差別禁止法などいくつもの法律の見直しが始まり、それらを検討する推進会議に、多くの障害者が参加しています。先日「ナナの家」から参加した相談支援従事者の研修会にも、障害者の講師が何人も参加し、今後は障害者中心の福祉、障害者の希望に耳を傾ける相談事業が始まることが伝わってきました。それらの話を耳にする度に、「ナナの家」の10周年は、福祉の大きな転換期に遭遇していることを感じます。 
  「ナナの家」の次の目標は20歳の成人式です。資金難のSOSはかなり少なくなりましたが、それでもまだ何が起こるかわかりません。成人式の頃の「ナナの家」はきっと二世代が運営し、社会福祉法人化に向けて歩んでいることでしょう。そのためには、情報を的確に集め、他団体とのネットを深め、みんなで地域を創っていく視点を持つことが大切です。障害者の声に耳を傾け、願いを叶え、無いなら創っていく姿勢を貫いていけるならば、「ナナの家」が目的とする“障害者が地域で幸せに暮らしていく社会”も、そんなに遠い話ではなくなることでしょう。 
  10周年を区切りに、記念誌の発行とホームページのリニューアルを行います。記念誌を通し、今までのあゆみを皆さまと共有し、ホームページでは携帯からもアクセスできるように致します。私たちはこれからも地域に愛される「ナナの家」を目指して邁進して参りますので、皆さまには、引き続き福祉ネット「ナナの家」の見守りとご指導、応援をよろしくお願い致します。                             2011年3月           


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